ペトラ遺跡を見学したり、死海で浮かんでみたりした後は、隣国イスラエルへ。
イスラエルについて記憶に新しいことと言えば、米トランプ大統領の「エルサレム首都宣言」でしょう。正直、あまりポジティブな報道は耳にしませんよね。
イスラエルやエルサレムを巡る国際問題が何か、という前提についてはとても長くなりますので「詳しくないからちゃんと知りたい!」という方は池上彰センセイの本を参考ください(笑)。池上さんさすが、やっぱり分かりやすく説明してますわ!
池上彰の世界の見方-中東-混迷の本当の理由
こちらのサイトは、ダイジェスト版的に。
エルサレムはどこの国のものか?池上彰が解説
それでもあえてザックリ言いますと…
まず前提として、エルサレムという街は宗教的に極めて重要な場所で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教全ての聖地です。
ユダヤ教にとっては、その始祖であるアブラハムが初めて神のお告げを聞いた場所であり、キリスト教にとっては、イエス・キリストが生まれ、また死を迎え、さらに言えば復活した場所であり、イスラム教にとっては、その始祖であるムハメッドが天馬に乗って昇天した地です。
「そんな極めて宗教上重要な場所エルサレムは、いったい誰のものなのか」という論点を巡って、また、過去イギリスの自己中心的な外交手法などが引き金となり(これは割愛)、この街では様々な紛争が起こり続けてきました。
2000年前、現在のイスラエルにあたる土地はもともとユダヤ人の王国だったのですが、別の王国に破壊されてユダヤ人は散りじりになります。その後その土地にはアラブ人が住みついていたのですが、迫害を受け続けてきたユダヤ人が「もう一度イスラエルに戻ろう!」という運動を始め、アラブ人を追い出そうと侵略を始めます。いやいや、もう今は俺たちの国だし…って感じで、アラブ人にとってはたまったもんじゃないすよね。
1948年、国連はこの問題を解決しようとして、この国をアラブ人とユダヤ人に分割することを提案したのですが、エジプトなど周辺国のアラブ人がそれを認めず、そこから何度も中東戦争が起こってきたという訳です。
現在「イスラエル」という“国家”は、中東戦争に勝利したユダヤ人の国です。一方アラブ人は、イスラエル国土の中にある「パレスチナ自治区」というエリアで生活しています。なのでもし「エルサレム=イスラエルの首都」ということを認めてしまえば、エルサレムはユダヤ人の地である、という事と同義になってしまいます。
だからこそ日本を含む国際社会はそのロジックを認めず「エルサレムはあくまで両者に分割された街なので、イスラエルのものではない。イスラエルの首都はテルアビブ(イスラエル第二の都市)だ!」とし、大使館をテルアビブに設置してきましたのです。大使館は基本的に各国の首都に置かれます。しかしそんな最中、トランプ大統領が大使館をエルサレムに移した、というのが今回の経緯なのです。そりゃあ揉めますよね、と。
かなり乱暴にまとめましたが、これらの経緯を見ていくと問題の当事者(パレスチナ人とユダヤ人)に明らかな非がある訳ではなく、過去のイギリスの卑劣な外交手法や、国連の判断ミスなどが複雑な問題を作り出していて、心苦しい気持ちになります。
基本的にこの問題は、当事者たち(パレスチナ人とユダヤ人)で協議して解決させることが期待されており、どうやら、もうじき着地しそうだと聞いています。無事に収束する事を願うばかりですね!
そんなエルサレムですが、街を少し歩くとその洗練された街並みに驚かされます。
何を隠そうイスラエルは、一人あたりGDPも日本よりも高い立派な先進国です。ナスダック(アメリカのベンチャー企業向け株式市場)への上場企業数は軽く100社を超えており(アメリカ、中国に次いで多い)、世界TOPクラスの技術を持ったIT企業が続々と生まれています。複雑な歴史を抱えつつも、世界最先端国家でもあるのです。
まるでヨーロッパに入ったかのように洗練された雰囲気です。
そして、物価が鬼高い!ふと入ったマクド(何故か青色!)では日本円にして1000円超え!その辺のレストランの価格帯も、東京よりも全然高いです。
エルサレムの中心には約1km四方の城壁があり、その中が「旧市街」となっています。この中がいわば聖地であって、外側は新市街と呼ばれています。
城壁の中は外側とはガラッと雰囲気が変わり、迷路のように入り組んだ古い街並みが広がっています。
エルサレム旧市街は、エリアによって「イスラム教地区」「ユダヤ教地区」「キリスト教地区」に分かれていて、場所を少し移すと雰囲気がガラッと変わります。1枚前の写真はキリスト教地区ですが上の写真はユダヤ人地区で、城壁内でも一気に洗練された雰囲気になります。
ここはエルサレムの中でも、ユダヤ教にとっての聖地『嘆きの壁』。もともとは、神が降臨するとされる神殿があった場所で、ローマ軍に破壊された際にこの西側の壁だけが残りました。ここはユダヤ教徒にとって最も聖なる場所で、壁に向かって祈りを唱える人が絶えません。
ちなみに「嘆きの壁」という名の由来は、岩が夜露で涙したように見えることから付いたそうです。
嘆きの壁のすぐ近くには、イスラム教の聖地『岩のドーム』があります。このドームにはイスラム教徒以外は入れませんが、ドームの中には石があり、その石はイスラム教の始祖ムハメッドが天界を巡るために旅立つ際に足跡を残したと信じられています。
しかしイスラム教徒でなくても、その圧倒的な存在感には心を奪われます。
この通りは、イエス・キリストが処刑されるときに、重い十字架を背負って処刑される予定の場所であるゴルゴタの丘まで歩いた道で、『ヴィア・ドロローサ』と呼ばれています。イエス・キリストの足跡になぞらえた祈祷所が14つも設置されています。言うまでもなくここはキリスト教の聖地。本当、どこもかしこも聖地だらけや!!
少し暗くなってきても、危険な雰囲気は全くありません。
旧市街の城壁をでて『オリーブ山』を登ると、旧市街を一望できるのでオススメです。
ちなみにオリーブ山も、ユダヤ教徒にとってもキリスト教徒にとっても重要な地で、新約聖書にもその名が登場しているそうです。
翌日には、パレスチナ自治区内にあるベツレヘムという街に向かいます。ここは何とイエスが生まれた地で、写真の『生誕教会』の地下が、イエスが生を受けた場所とされています。
言わずもがな、ここもキリスト教徒の聖地です。クリスマスの日のミサは本当にお祭り騒ぎになるそうです。
ちなみに生誕教会のすぐ近くにはスターバックス(ニセモノ)がありますのでどうぞお立ち寄りを。
ちゃんとオリジナルGoodsも取り揃えております。
なお、エルサレム郊外には『ホロコースト歴史博物館』がありますが、ここも必見!展示されている資料は全て英語ですが、とにかく圧倒的な情報量で圧倒されます。「名前のホール」という展示室には、何百人というユダヤ人犠牲者の写真が並べられ、この歴史の圧倒的な残酷さを伝えています。
ちなみに、ちょうどこの時はワールドカップ予選の日本VSセネガル戦!!一緒に観光をしていた日本人の方と日本を応援!まさかイスラエルで日本戦を観れるとは、嬉しい!結果は引き分け!
ホステルへ帰ってもワールドカップ予選は大盛り上がり。世界中どこへ行ってもサッカーは人気ですね〜
イスラエルは3大宗教が集まるという意味でも、世界で唯一ユダヤ人が集まっている国という意味でも、本当に意味深い国だと思います。
ちなみに長い歴史の中で憂き目にあってきたユダヤ人ですが、何と過去のノーベル賞総数のおよそ20%はユダヤ人に贈られているとされており、様々な才能を開花させています。
ナタリー・ポートマンはエルサレム生まれですし、マック・ザッカーバーグはNYのユダヤ家庭に生まれ、スティーブン・スピルバーグはウクライナ系ユダヤ人です。それっぽい事を書いた本もあったような気がしますが、彼らの極めて高い能力の秘訣、気になりますね。
Sohta Yamaji
1985年生まれ、大阪出身。
約1年かけて世界を旅しています。
帰国しました!ブログ書きます!笑