ジャマイカを発ち、キューバにやってきました。
ソ連の崩壊とアメリカの経済制裁により一時はどん底まで落ち込んだキューバの経済は、1993年以降の経済改革により一定の回復を見せています。特に観光業は順調で、2003年に190万人だった観光客は、2017年には500万人近くまで増えているとのこと。
Airbnbなど民泊サービスが流行するより前から多くの家庭が旅行客相手に民泊事業をしていたり、キューバ自慢のクラシックカーはタクシーに活用されていたりと、観光に対してもユニークな側面を持っています。
キューバの首都ハバナ。コロニアルな街並みが本当に美しく、歩くのが楽しいです。
建物は古いですが、観光客も多い旧市街ではどこも綺麗に整備されています。
ちょっとした一角が絵になります。
レトロでカラフルな建物。
長い間アメリカの経済制裁によって物資が入ってこなかったキューバでは、今でも多くのクラシックカーが健在です。もちろん今は新しいヨーロッパ車なども走っていますが、クラシックカーは本当に多いです。
こんなカッコいい車が普通に走っているから驚きです。
キューバといえば「チェ・ゲバラ」。カストロと共にキューバ革命を進めたゲバラの顔は、今でもキューバのいたる所で見られます。ゲバラの圧倒的な正義感やリーダーシップもさる事ながら、これだけの人気の理由はそのカッコ良さにもあると思います。タッちゃんも「男は顔だよ」と言っていましたが、そういう事ですかね(漫画『タッチ』より)。
キューバは音楽に溢れています。街中のカフェやレストランでサルサが流れていて楽しませてくれます。
人々は陽気で、歩いていると「Hola!」と元気に声をかけてきます。音楽が流れていると男女が立ち上がりサルサを躍り出します。本当に明るい空気がキューバには漂っています。
キューバからバスで6時間程の「トリニダー」という町もオススメです。人口3万5000人ほどの小さな町ですが、世界遺産に登録されており、本当に時計が止まったかのようなレトロ感あふれる綺麗な町です。
町中に敷き詰められた石畳が特徴的です。
市場も温かい雰囲気。
カラフルなペイントの建物が目立ちます。
ヨーロッパでも見られない、独特の雰囲気じゃないでしょうか。
比較的治安の良いキューバでは、夜も人通りが多いです。雰囲気も抜群です。
さて、冒頭でお伝えしたように、キューバでは「Casa」と呼ばれる民泊が盛んです。泊まれる家のドアの前には青色の錨のマークが掲げられており、これが街中で見られます。
写真左に見える錨のマークのある家に泊まる事が出来ます(相場はだいたい20〜40ドル)。
少しでもキューバの家庭の雰囲気を味わえるのは魅力です。もしスペイン語が出来れば、もっとご家族と色々話が出来るのですが、そこは悔やまれるところです。
さて、「成功した社会主義国」とも言われるキューバですが、本当にそうなのでしょうか。
キューバでは最低限の食料が格安で配給され、教育も医療も誰でも無料。なので町でホームレスは見かけませんし、識字率は99%以上と高く、誰もが職についています。確かに社会主義国として機能している部分も多いです。
では、国民の収入はどれくらいなのでしょうか?社会主義国のキューバでは、いわば国民全員が国家公務員のようなもので、誰もが公正な収入を得られます。
ですがその収入は、平均して「月20ドル程度」という低さです。職業によっての差はほとんど無く、固定給で働く限り教師でも医者でも葉巻工場の職人でも大差ありません。なのでほぼ全ての国民が、高級なレストランにも行けなければ、決して海外旅行なんて出来ません。
確かに、誰もが等しく”生活出来る”。でも誰も豊かにはなれない。
ではキューバではそれが当たり前になっているので誰も気にしていないのかというと、決してそんな事はありません。やはり豊になりたいと考えている多くの人は、何をしているのか。それは「外国人向けに個人で商売をする」事です。
実はキューバの通貨は2つあり、国民向けの「CUP=ペソ」と、外国人向けの「CUC=クック」に分かれます。1CUCは24CUPで、外国人が使うお店は国民向けのお店より数倍の価格になります。
つまり、外国人向けに商売をしてCUCを稼げば、普通の収入よりも遥かに稼げるという事です。
キューバは数年前に個人事業の規制を緩和しており、政府の認可を得られれば個人事業主として商売が出来ます。今では個人事業主の数はどんどん増えており、2017年9月時点で57万人(国内人口の5%程度)。
その代表が、まさに「CASA」のオーナーやタクシードライバーで、一泊20CUC(1CUC≒1ドル)の宿を運営していたら、そりゃもう月収20ドルなんて霞むくらいに稼げます。
特に、複数の物件を持っている不動産オーナーなんていれば、英語を使えるスタッフをアシスタントとして雇ったりしながらCASAをどんどん展開し、ガンガン稼いでいるらしいです(僕がハバナで泊まったCASAがまさにそうでした)。
結果、平等を目指した社会主義国キューバでは、とんどもない格差が発生しているとのこと。
これからも観光客が伸びると期待されているキューバ。一方、それによって社会主義国家としての矛盾がどんどん広がっているキューバ。今後、どのようにその差を埋めていくのでしょうか。
人々は陽気で、幸せそうにも見える一方、構造的な課題がキューバにはあるようです。色々と興味深い側面を持つ国だと思いました。
Sohta Yamaji
1985年生まれ、大阪出身。
約1年かけて世界を旅しています。
やまぢさん!
外国の色々な情報 興味深く読ませていただいております!!
やのぴす、ありがとう!!