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帰国しました!ブログ書きます!笑

YAMAJOURNEY
2018.03.25
【アルゼンチン】南米最高峰アコンカグア(6962m)登山 [中編]
category : Others / country:

ベースキャンプ に到着しました!

 

ベースキャンプ とは、文字通り登山の拠点となる場所です。つまり、ここから本格的に登山が始まるという意味になります。今回は単独登山なので、ここからの荷揚げもスケジュール設計も全て自分で行います。

 

スケジュールを設計する上で鍵となるのが、とにかく「高度順応」と「天気」です。そしてこれらが、アコンカグア登山における最大の壁にもなります。

 

アコンカグアの標高は約7000mですが、この高さに人がいきなり降り立つと酸素が薄すぎて5分で失神してしまいます。ここはそういう高さです。更に今回は6000m地点で睡眠も取ります(睡眠中は呼吸が浅くなるため、高山病にかかりやすくなります)。これだけの高さに対しては、かなり慎重に高度順応をしていく必要があります。

 

そして天気。雪が多いと登りにくくなるのも確かですが、何よりも怖いのは風です。もともとアコンカグアの頂上付近は気温-20℃くらいですが、そこに強風が吹くと地獄的な寒さになります。体を支えるだけでもパワーがいるため、登頂難易度が一気に高まります。特にアコンカグアでは、『ビエント・ブランコ(白い風)』と呼ばれるアンデス山脈特有の強風が発生する事があり、その時は風速50m/秒を超える事もあるそうです。

 

それらを踏まえて、今回はこのようにスケジュール設計しました。

 

まず、ベースキャンプ からC1(4950m)まで荷物の半分を運び、夜はベースキャンプまで戻る。翌日、残りの荷物と共にC1に移動。次の日、C1からC2(5350m)へと荷物の半分を運び、夜はC1まで戻る。翌日C2に移動…。これを繰り返し、最終キャンプC3(6000m)から頂上アタックを狙うという工程です。しかしアタック日はあくまで天候次第で、常に天気予報を見ながら適宜判断します。

 

これによって、荷揚げの負担を減らしつつ、少しずつ体を高度に慣れさせる事が出来ます。同じ道を何度も往復するのは楽しくありませんが、とにかく登頂が一番大事です。

 

後は常に自分の体を様子見て、とにかく無理せずに登頂を目指したいと思います。

 


ベースキャンプ〜C3(Day4〜9)


ベースキャンプに到着した翌日(Day4)は、丸一日の休養日を取ります。1時間ほど散歩をした以外は、Inka社のテントでみんなと談笑したり、本を読んだり本当にゆっくりとした時間を過ごします。

 

夕方には、ベースキャンプ駐在のドクターからメディカルチェックを受けます。これはここより上に登る登山者全員に義務付けられていて、体調次第では強制下山もさせられるとの事。特に気になるのは「血中酸素濃度」で、“肺から取り込まれた酸素を体内に運ぶ力”を測るものです。平地ではだいたい誰もが96〜99%という数値なのですが、高地に上がれば上がる程この数値が下がり、十分に全身の臓器に酸素を取り込めなくなります。

 

測定の結果、僕の数値は82%。登山を止められるのではないかとドキドキしましたが、何とか継続許可が出ました。ですが決して高くはないので、もし翌朝に頭痛があれば再度メディカルチェックを受けなさいとの事。噂では、75%を下回っていると待機指示が出るとか出ないとか…

 

ちなみにこの日には、アコンカグアで初めて日本人に出会いました。この方は12月に一度ツアー登山でチャレンジされたそうなのですが、残念ながら6400m時点で断念し下山。一度メンドーサまで戻ったのものの、どうしても諦めきれず、なんと帰国便をキャンセルして再度アタック!そして見事登頂して下山されているところでした。まさに執念の登頂、おめでたい!

 

 

そして翌日(Day5)。朝起きても頭痛は無し!むしろ清々しい気分です。今日はC1(カナダ)へと荷揚げを行います。

ベースキャンプより上にはトイレが無いので、ここで通称「うんち袋」を受け取ります。便はこの袋に保管し、持ち帰って来なさいという事です。

 

誰かのブログで「保管したうんちはカチコチに凍るので臭くなかった!」と書いてあったのでなるほど〜と思っていたのですが、確かに夜は凍るものの、昼は日差しがめちゃめちゃ強いため少し解凍されて、実際には臭かったのが悲しい思い出です。

C1までは、約3時間の道のり。この日は雪山登山用のアイゼンや食料などを中心に約15kgほどの荷物を運びます。少し登るとベースキャンプの全容が見えました。本当に大きなベースキャンプです。

 

道はかなり単調で、ひたすらジグザグと登りが続きます。しかし如何せん4000m台、息が上がります。

 

黙々と登っていると、2時間40分程でC1(カナダ)に到着。悪くないペースです。ランチを取るなどして1時間ほど滞在し、少しでも5000mに体を慣らします。ですが今日はあくまで荷揚げ。運んできた荷物をデポし、ベースキャンプへと戻ります。下りは早いもので、1時間程度で下山。今日はなかなか順調な出だしです!

 

と思っていたら…なんと、この日の夜から大雪が!ベースキャンプも一気に白銀の世界に変わりました。この時期にこれ程降るのはかなり珍しいみたい。なんだか一気に順調モードから引きずり降ろされました…。この勢いでどんどん積もった場合、明日は登れるのだろうか…

 

そしてDay6。すっかり白くなった山から清々しい朝日が登ります。雪は積もっていますが今日は快晴。これなら全然登れそうです。

 

今日は、テントや寝袋など残っている荷物を全て持って、C1へと移動します(正確に言えば、一部の荷物はベースキャンプのInka社に預けます)。居心地の良かったベースキャンプともしばらくお別れです。これまで一番仲良くしていたオランダ人のおじちゃんともお別れ。「とにかく命を大事にしなさい!」としつこい程に心配し続けてくれました。本当に感謝です。

昨日よりも順応出来ているハズなのに、なかなか進まず約3時間。雪が多いからか、靴をプラスチックブーツ(雪山用登山靴)に履き替えたからか、やたらキツかったです。C1もすっかり雪が積もっていました。

 

この日はこれ以上登らないのでテントでじっくり順応。テントは秘密基地みたいな感じでテンション上がります。どの荷物をどこに置けば最も便利か、などを考えて自分の世界を作り上げていくのが結構楽しいのです。レンタルしたテントは2人でも使えそうなサイズのもので、中にいても決して窮屈を感じません。

 

テントから覗く雪山も何だか素敵です。

 

ちなみに、いつもテントの中で何をしているのかと言うと…

 

実は4000mを超えるような高所では、1日5リットル程度の水分を取る必要があります。高所は空気が乾燥している上に、呼吸が早く大きくなるからです。水分が不足すると血液が固まり、高度順応出来ないのはもちろん、場合によっては死に至ります。ですがこの高さになると水道も川もないので、そこらへんに積もっている雪を溶かして水を作ります。

 

とにかく大変なのはその量。コップ1杯250mlとすると、1日20杯分の水を作るという事になります。なので、山でテントを立てた後いつも何をしているのかというと、「ひたすら雪を溶かして水を作っている」という感じです。

 

ただ水を飲むだけだと美味しくないので、僕は主に砂糖をたっぷり入れた紅茶を飲みます。体を温められる上にカロリーを摂取出来るので効率が良いです。が、バーナーで20杯分の紅茶を作るのはかなり面倒です。温かい紅茶を飲むのは至福のひと時なので、それを楽しみにひたすら雪を溶かして湯を沸かします。

 

食事は粉末スープとラーメンを取ることが多いです。水分も一緒に取れるからです。時々パスタも作りますが、茹で汁も全部飲みます。ただでさえ雪を溶かした水なので茹で汁は全然美味しくないのですが、とにかく水分摂取が重要なので背に腹は変えられません。

 

食事が終わると、他の登山者と話をしたり、本を読んだり、音楽を聞いたりして時間を過ごします。完全に暗くなる21時頃にはもうめちゃめちゃ寒くなっているので、寝袋から出る気が起きません。22時頃には就寝し、明るくなる8時くらいまで約10時間くらいは寝ます。

 

酸素が薄く猛烈な寒さの中で過ごす山の生活は、確かに快適ではありませんが、意外とやる事が結構あるのでなんだかんだと時は過ぎていくものです。

そしてDay7。今日はC1からC2(ニド)へと半分の荷揚げ。ここも約3時間の道のりです。

 

虹でしょうか、不思議な現象です。

 

C1を出発ししばらく経つと緩やかな斜面になるのですが、これがなかなか進まない。何だか体もフラフラです。明らかに高所の影響が出ているようです。30歩数えたら休憩する、というのを繰り返して少しずつ進みます。

C1を発って約2時間50分程でようやくC2(ニド)に到着。ここにはレンジャーステーションもあり、天気予報を聞くことが出来ました。

 

天気予報では、この先3日間ほどは天候は安定するが、4日後からしばらく天気が荒れる見込みとの事。元々予定では4日後のDay11をアタック日に考えていましたが、こうなったら1日早くしてDay10にアタックする他なさそうです。周りの登山者やガイド付グループ登山隊も同様に、みな3日後までにアタックするようにスケジュール変更しているようです。

 

高度順応が1日減るのは不安ですが、山の天気に逆らう訳にはいきません。明日、残りの荷物と共にC2に移動した後、その翌日には全ての荷物を持ってC3まで登り次の日にアタックする事にしました。

 

とにかく今は高山病の症状も出てきているので、運んできた荷物をデポし、C1まで戻りました。

そして翌日(Day8)。またまた残りの荷物を持ってC2まで移動。今回も最後の斜面がかなりキツイ。とにかく異様に体が進まず、前日よりも時間がかかります。こんな状態で2日後にアタック出来るのだろうか…

 

約3時間20分かけてC2に到着、フラフラになりながらテントを立てます。この日は風が弱く、約5400mの高さでも本当に静かな夜です。

 

夕焼けが、燃えるように赤い。この日もひたすら雪を溶かし、水分を取り続けます。明日、C3(コレラ)まで登るためにはとにかくこの高度に順応しなくては。時間をかけてストレッチをして早めに就寝しました。

 

そしてDay9。体調は良さそうです。テントを片付けるのもそれ程苦しくはありません。出来ればこの日は荷揚げだけして約6000mの高度に少し慣らして戻ってきたかったですが、天候が荒れる前にアタックをかける事にした為、全ての荷物を持ってC3(コレラ)に向かいます。

 

C2からC3は少し距離が短く、荷物が少なければ2時間半くらいとの噂。しばらく歩くと、壊れた山小屋が見えてきます。ここはベルリンと呼ばれていて、この周辺をC3とする人も結構いるみたいです。

 

さらにそこから20分。ついに最終キャンプ地のC3が見えてきました。風が強いことが難点ですが、広くて平らなキャンプです。

 

ここまで来ると、景色も一段と荘厳な雰囲気が漂います。

 

すでに標高6000m、ここから頂上まで約1000m。多少の息苦しさはありますが、頭痛もなく、体調は良し。今は風も強くなく、明日はきっとアタック日和。よし…行ける気がする!

 

そして、いよいよ頂上に向かう最終アタック日がやってきます。

  • ノリコ 2018年7月28日11:07 AM

    今頃読んだんだけど…(笑)
    やっぱり、C1からC2の緩斜面になったとこから、進まないよね〜
    なんか私のまわりは、ラクラク登ってる人ばっかりだったので、「なんぼ歩いても進まへん…」感覚がわかってくれる人がいなくて…
    仲間がいてよかった♫

    • souta 2018年8月2日6:47 AM

      そうなんです、なんだかC2後半が一番キツかったですね〜。フラッグが見えてからなかなか辿り着かないあの感じ…懐かしいです。笑

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PROFILE

Sohta Yamaji

1985年生まれ、大阪出身。
約1年かけて世界を旅しています。

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