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帰国しました!ブログ書きます!笑

YAMAJOURNEY
2018.03.30
【アルゼンチン】南米最高峰アコンカグア(6962m)登山 [後編]
category : Others / country:

いよいよ最終アタック日(Day10)。標高6000mのC3から、6962mのサミットまで一気に登って戻ります。

 

標準の登山時間は往復で12〜15時間ほど。早朝6時くらいに出発して日が暮れる前に戻る、というのが理想のイメージです。同日に登るアジア系アメリカ人のおじ様グループは、スピードが遅いのでなんと深夜3時に出発するらしい。早ければ早いほど時間に余裕を持てますが、夜明け前はとにかく寒く、しかも道が暗いので体力を使います。自分のスピードを踏まえて出発時間を見極める必要があります。

 


頂上アタック〜下山(Day10〜12)


夜の気温はマイナス20度以下。テントの中でもめちゃめちゃ寒い。持ってきた服を全て着込んでいますが、それでも寝袋の中で寝苦しいほど体が冷えています。

 

早朝5時。

 

まだ辺りは真っ暗で風が強く、テントがバタバタと強い音を立てています。これまでのテントでは経験していない風の強さです。いったん待機だな…と思い5時半まで待つものの、弱まる気配はありません。あのアジア系アメリカ人グループはもう出発しているんだろうか…。とにかく準備だけは進めておかなければと、バーナーに火を通して朝食を作り始めます。

 

しかしどういう訳か、バーナーの火がめちゃめちゃ弱い。ガスを交換してみても変わらない。気温が低過ぎるだろうか。いよいよ出発予定時刻の6時になっても、まだ水が沸騰しません。テントの外を覗くと、登山道にポツポツと光が見えます。登頂を目指して登り始めた登山者のヘッドライトです。どうやらこの風の強さでは待機する必要は無かったようです。

 

いよいよ夜も明け始めました。やばい、完全に出遅れている…!それでも、ちゃんとカロリーを摂取して、紅茶を持ってから出発したい。しかもこの日の朝食は、メンドーサの街で出会った日本人の方からいただいた「味噌とんこつ棒ラーメン」。C2で半分食べましたが、衝撃の旨さ。何としてもこれを食べてから出発したい…!早くあのクリーミーなスープを飲みたい!!

 

最終的に出発できるようになったのは7時半。ああ、遅すぎる…!もはや山を見上げても誰もいません。明らかに自分が最後の登山者です。とにかく登らなければ!もはや遅すぎてヘッドライトが不要な明るさになっています。

 

誰もいないのでルートが正しいのか分かりませんが、雪の踏み跡らしきものを頼りに黙々と登り始めます。でも、こんな広大な山にただ一人。なんだかこれはこれで気持ち良いな、と思いながらひたすら自分の呼吸を聞きながら歩を進めます。

 

1時間半ほど登ると、ようやく前を歩いていた登山者に追いつきました。インディペンデンシア(6400m)と呼ばれる、壊れた小屋があるところです。やはり人がいると安心します。この辺りまで来ると、すでに自分の立っているところが圧倒的な高さだという事を感じます。

ここから、アコンカグア登頂における第一の山場『大トラバース』です。切り立った大斜面を登っていきます。足を踏み外せば遥か下まで落ちていく道ではありますが、幅は十分にあるので高度感はありません。ここでアジア系アメリカ人のおじ様グループにも追いつきました。標高も6500m近くなり、誰もがペースダウンしています。苦しいのはみんな一緒です。

 

さらに1時間半ほどかけて大トラバースを渡りきり、大岩の下でしばらく休憩。ここからいよいよアコンカグア最大の山場『グラン・カナレーター』に入ります。斜度40〜60度の、この山で一番の急登です。

 

標高ももはや6700m、全く順応出来ていない高さでこの斜面は本当に苦しい。しかも雪が深くて足が埋もれる。10歩も進めば喘ぐように息が切れます。さすがアコンカグアの最深部、そう易々とは登らせてくれません。

 

近くにいたお兄さんが、遠くに見える岩の先を指差して「あそこから良い景色が見れるよ!」と言うので、まずはそこまで頑張ろうと気合いを入れて登ります。グランカナレーターを超えたと思いきや、意外とそこからも長い。10歩数えて休憩、10歩数えて休憩…一体頂上はどこやー!

 

 

C3を出て約7時間、14時30分。

 

ようやく、景色が良いと言われた岩の上に辿り着きました。かなり広いスペースになっていて、確かに抜群の見晴らし!!

って…ここ、頂上でした!!

 

頂上を表す十字架がしっかり突き刺さっています。念のために近くにいた登山者に「ここどこ?」と聞くと「いや、頂上だよ(笑)」と。

 

いや、お兄さん!景色が良いとかじゃなくて、頂上なら頂上って言ってくれ(笑)!

何はともあれ、アコンカグアに入って10日間。ようやく6962mの頂上に到達しました!!南米で最も高い位置、360度遥か先まで景色が見渡せます。

 

アコンカグア南壁も見れます。ああ、美しい…!

 

お決まりですが、この十字架の前で写真。おっしゃー!!!(日で焼けた自分の顔の黒さに驚きます)

 

30分ほど滞在していると、急に雲がもくもくと上がってきて、景色が見れなくなりました。あまり長く滞在したい高さではありません。早々に下山をする事に。

 

 

下りは楽勝かと思いきや、雪で滑ってこれまたキツイ。標高もどんどん下がっているはずなのに体は依然フラフラしています。自分が思っている以上に体は消耗しているようです。

 

すると、大トラバースの中頃で、一人の韓国人男性が重度の高山病にかかって複数人のガイドに介護されていました。全身震えていて、ほぼ意識を失っている状態です。水を飲ませようとするも、一切受け付けず吐き出してしまいます。これからガイドみんなで抱えて下山するとの事でした。「何か手伝える事はないか?」と聞くと、みんなのピッケルを持って欲しいと言われたので彼らと一緒に下ることに。

 

登頂した後でもなお、山の怖さを感じた出来事でした。300mほど下ると、彼は徐々に意識を取り戻し、なんとか一命を取り止めました。その日はC2のテントまでガイド達に運ばれ一晩を過ごし、翌日の早朝に緊急ヘリで運ばれ町に戻ったそうです。後から聞いた話では、登っている時から明らかに具合が悪くなってものの、下山したくなかったのでガイドに「大丈夫だ」と嘘をつき続きていたようです。本当に、ちょっとした無茶が生死を決めかねません。本当に、ご無事で何よりでした。

 

そして18時半、ようやくC3に到着。なんとか無事にテントまで戻ってきました。登頂の嬉しさを噛み締めながら、ご飯を食べてすぐに眠りにつきました。

 

 

翌日(Day11)。今日はテントを回収してベースキャンプまで向かいます。強風の中、全ての荷物を背負って下山。これが本当にきつかったです。

 

フラフラの体に重い荷物。下りなのに全然進みません。肩も痛いし足も痛い。途中から「荷物を置けるちょうど良い高さの石があれば、その度に休憩する」という、圧倒的に自分を甘やかすルールを心の中で決めていました(笑)。良い石がなかなか見つからない時は本当に辛かったです。

 

結局、通常3〜4時間で下れるベースキャンプまでの道のりを、6時間半ほどかけて降りました。標高4350m。ここ数日と比べると圧倒的に酸素が濃く、暖かく、居心地の良いベースキャンプです。

 

この日は、同じ日に登頂したアルゼンチン人とフランス人のカップルと共に、ピザ&ビールで祝杯。山に入って始めてのビールです。ああ、美味すぎる!!

そして懐かしのInka社スタッフとも再開。彼らは本当に真面目で明るく、いつも元気をもらっていました。自信を持ってオススメできる代理店です。ありがとう!

 

 

そしていよいよ最終日(Day12)。今日はベースキャンプから登山口まで歩き、ついにメンドーサに戻ります。この日はアコンカグアに入ってから2人目の日本人に出会いました。この方もなんと3回目のチャレンジで、前2回はあまりの吹雪に登頂を断念し、ついに今回登頂を果たしたとの事!またもや執念の登頂です。おめでたい!

 

ほぼ全ての荷物をムーラに預け、うんち袋を返却し、Inka社の皆に別れを告げ、下山します。荷物が軽く、コンフルエンシアまで5時間、そこから登山口まで2時間とテンポ良く歩きましたが、登山口に着いた頃にはもう本当にフラフラでした。

あらためて後ろを振り返ると、雲のかかったアコンカグアの頂上が見えます。あそこに登ったんだなあと、何だか感慨深いです。とにかく、無事に下山できて本当に良かった!

 

 

こうして、合計12日間のアコンカグア登山が終わりました。

 

この12日間、極めて過酷な環境の中で生活してきました。常に自分の体調や山の様子を観察し、高山病対策を行いながら過ごしてきました。日焼け止めを塗っても容赦なく肌は真っ赤に焼け、唇は膨れ、頭痛を感じる日も多く、足の爪は内出血になり、体重も減りました。

 

一方で、本当に人の出会いに恵まれました。国籍も年齢も関係なく、山が好きな人が集まり互いに励まし合い、助け合いながら過ごす時間はめちゃめちゃ素敵です。アコンカグアには山に狂った人たちも多く(笑)、7大陸最高峰登頂者やフィリピン人女性初のエベレスト登頂者など、とんでもない山好きとも出会いました。ベースキャンプで出会ったあるガイドは、アコンカグア頂上滞在のギネス記録保持者で、1ヶ月以上6962mの頂上に滞在していた人でした。クレイジー過ぎます。

 

山の怖さも美しさも全てひっくるめて、本当に様々なことを感じることが出来た登山でした。いや〜、楽しかった!!

 

さて、次の登山はアフリカでキリマンジャロやー!

 

  • ノリコ 2018年7月28日11:18 AM

    下山時のハプニング…
    でも、そこでヘルプできる余裕と気持はすばらしいです。
    私もたくさんの人に助けられての登山でした。
    いや〜、やっぱりアコンカグアおもしろいね。
    いまさらですが、おつかれさまでした!!(笑)

    • souta 2018年8月2日6:59 AM

      さすがアコンカグア、やっぱり色んなドラマがありますよね!また山談義しましょー!!

  • asami 2018年8月19日10:23 PM

    こんにちは、初めまして。
    アコンカグアを調べていたらこのブログに辿り着きました。年末年始にキリマンジャロ登ってきて、次はアコンカグアに…と思いつつ、2週間を超える休暇を取る勇気がなく、まだチャレンジ出来ていません。
    ステキな写真も拝見して、益々登りたい気持ちが高まりました^ ^
    素敵なブログ拝読させて頂き、ありがとうございます♪
    asami

    • souta 2018年8月23日9:34 AM

      asamiさん、コメントありがとうございます。確かに、日本からアコンカグア登山をするには休暇の取得がまずハードルですよね〜!もちろん危険度はキリマンジャロよりも数段高まりますが、アコンカグアではさらに山の魅力をどっぷりと感じることが出来ました。チャレンジ、応援しています!ご質問等あれば何でもお聞きください〜

  • asami 2018年9月16日6:33 PM

    soutaさん、

    アコンカグアのことまた詳しく教えて下さいね♪ とりあえず、年末年始はナミブ砂漠、ビクトリアフォールあたり行こうかなと考えてます。ブログ読ませて頂きましたがオーバーランドツアーというのも楽しそうですね!本当に、時間さえ確保できれば 参加したいな…と。そして、歴史的な背景をしっかりと学ぶ姿勢、そしてそそこから私達がどうすべきかとしっかり向き合い考えているとこ等、尊敬します^ ^

    • souta 2018年9月19日2:32 AM

      asamiさん

      お、ナミブ砂漠、ビクトリアフォールあたりをご予定されてるんですね!オーバーランドツアーは本当に楽しかったですが、やっぱり2〜3週間必要になっちゃいますしね。。また、実際のところメンバー次第な部分もあると思います。歴史的背景などについては、本当に恐縮です!本当は1つ1つの国や地域についてもっとちゃんと知りたいのですが、こうやって移動しながら旅しているとそうも出来ず、ジレンマです。でも、そう言って頂けるのは嬉しいです、ありがとうございます^ ^

  • 藤原遼太郎 2018年11月19日3:08 AM

    コメント失礼します!

    ブログ最後まで読ませていただきました!

    来年1月末、アコンカグアにパートナーと共に挑戦予定の者です。
    ツアー会社などは使わず、単独での登頂を目指そうと考え、現在アコンカグア 関連のブログを読み漁っています。

    Yamaji様のブログはかなり最近の情報なので、とても興味深く読んでいました。
    ぜひ、色々と情報を教えて頂きたいのですが、お願い出来ますか?

    • souta 2018年12月2日11:50 AM

      藤原さん、もちろんです!よろしくお願いします(^^)

  • 中西康雄 2018年12月11日11:57 PM

    来年1月20日前後からアコンカグア挑戦します!ムーラはINKA社に頼もうと思ってます。情報教えていただきたいです。よろしくお願いします。

    • souta 2018年12月12日3:14 PM

      中西さん、ご連絡ありがとうございます!後ほど私の方からメールいたしますね!

  • 中塚江美子 2019年11月19日7:12 PM

    はじめまして。
    今年の1月上旬からアコンカグアに挑戦したいと思っています。
    ムーラのことなど、あまり情報がなく困っているのですが相談に乗っていただいてもいいでしょうか?
    よろしくお願いします。

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PROFILE

Sohta Yamaji

1985年生まれ、大阪出身。
約1年かけて世界を旅しています。

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