ルワンダを離れ『エチオピア』へとやってきました。エチオピアは1億人近くの人口を持つ大国ですが、それよりもとにかく“ユニーク”な国です。
他のアフリカ諸国と違って、(イタリアに支配された5年間を除き)植民地化・奴隷化されてこなかったこの国は、独自の世界観を今も持ち続けています。
例えばエチオピアの1年は13ヶ月で構成されていたり(30日×12ヶ月+5日)、時間も標準時間と異なっていたり(エチオピアでは、0時0分は深夜ではなく朝の6時。要は太陽が出る時間から1日が始まるという考え方)、アムハラ語という独自の言語を使っていたりと、文字通りユニークなのです。
特に時間の違いは厄介で、バスやツアーの時間を確認する際も「エチオピア時間で12時(普通の時間で6時)ですよね!?」とか「標準時間で朝8時です!」とか、いちいち確認が必要です。
また食文化も独特で、主食はコメでもパンでもなく『インジェラ』と呼ばれるクレープのようなものを食べます。これはイネ科の穀物“テフ”を粉にし、水で溶いたあと発酵させたものを薄く伸ばして焼いたものです。
何が変わっていると言うとこちらのインジェラ、発酵させているので酸っぱいんです。
日本の米もフランスのパンもメキシコのトルティーヤもインドのチャパティーもペルーのイモも、世界中だいたい、主食というのはさっぱりしていてオカズを引き立てるものじゃないですか。しかしインジェラはそれ自体が酸っぱいので、まあ主張がお強いこと。
ちなみにどこの誰が言い出したのか、旅人の間では“見た目は雑巾 味はゲロ”などという不名誉すぎる表現をされたりしますが、僕の感想としては別にマズくありません。口あたりもフワッとして酸味も決して嫌な感じじゃなく、まあまあ食べれます。
ただですね、やっぱり酸っぱい。これが主食じゃなければ全然いいんですけど。主食なので、毎回の食事がいつも酸っぱいんです。例えばもし日本のコメがいつも酢飯なら、ちょっとキツイじゃないですか。そんな感じです(笑)。
でも付け合わせ次第ではその酸味もかなり緩和されて、たまに酸味やら甘味やらが見事なケミストリーを生んでいる事もあります!エチオピアに行かれる際は是非色んなインジェラにトライして下さい!
一方すごくハマった食文化としては、コーヒーです。エチオピアのコーヒー生産量はアフリカ1位、言わずもがなのコーヒー大国です。
エチオピアでは、写真のようにその場でコーヒーを淹れてからカップに注ぐのが定番です。これはコーヒーセレモニーと呼ばれていて、日本の茶道のようにちょっとした儀式となっています。 このコーヒーに砂糖をたっぷり入れて飲むのが基本ですが、これがまた旨い!!本当に美味しい。これが一杯あたり10〜20円くらいで飲めますから、ちょっと一服したい時に毎回飲んでしまいます。
さてさて、そんな独特な体験をたくさん出来るエチオピア。首都アディスアベバで一息ついた後はエチオピア訪問最大の目的である『ダナキル砂漠』のツアーを予約。もともと目を付けていた『Ethio Tour and Travel (ETT)』という代理店のオフィスがアディスアベバにあるので、直接訪問して予約しました。
ETTはおそらく、ダナキル砂漠のツアーを運行している代理店の中では圧倒的に最大手で、現地に行くと同社の車ばかり見かけます。所有していたランドクルーザーも2014年以降製造のものしか無いそうで、全体的にクオリティも良いと思います。(ちなみに価格は375ドル:2泊3日のツアー代+翌日のワンデイツアー代+アディス→メケレのバス代+メケレ→ラリベラのバス代)
ダナキル砂漠は、隣国エリトリアとの国境に近い砂漠地帯で、活火山や塩の奇岩群、温泉地帯など様々な景観が集まっていている人気エリアです。
出発は麓の町『メケレ』から。朝一番にツアー会社のメケレオフィスに集合し、みんなで車に乗り込みます。今回僕が一緒だったツアーメンバーは15人ほどでした。
砂漠エリアに入ると早速、圧倒的なスケールの景観が広がります。
途中でランチもいただき、さらに車を走らせる事数時間。最初に訪れたのはダナキル砂漠ハイライトの1つ『ダロール火山』です。車を止めて火山まで15分ほど歩きます。
これがダロール火山です!海抜マイナス45mにある火山で、塩やアンモニア、硫黄などが混ざり合って異様な光景となっています。
もはや地球とは思えない光景!
写真では伝わりにくいですが、火山は今も活動しているので足元ではずっとブクブク音がなり続けていて、それがまた異常な雰囲気を強めています。
そして、死ぬほど暑い!!
本日の気温はなんと49度。1時間ほど火山の周りをウロウロするだけでも体力がみるみるうちに消耗します。
塩水が噴き出す場所は常に変わり続けていて、訪れるたびにその景色を変えているそう。本当に不思議な場所です。てか暑い…
車に戻ったらすぐに、クーラーボックスに積まれていたコーラを購入。コーラうまー!!!
ダロール火山のすぐ近くには、硫黄の温泉がブクブクと吹き出す奇妙な『硫黄泉』も。硫黄やら鉄火化合物やら色々混ざっているので、さすがに触れない方が良いとの事でした。
さらにさらに少し車を走らせると塩湖があります。やはり、ここでは塩の採掘が大きな産業になっているそうです。
ボリビアのウユニ塩湖を彷彿とさせる、鏡張りになっている部分もありました。
初日から見どころたっぷりのツアー。いよいよ暗くなってきたので、今日の寝床に向かいます。
もはや場所はどこなのかは分かりませんが、小さな村の簡易宿泊所のようなところで宿泊です。
食後はみんなで軽く飲み会に。ここで合流した別のグループに(全然売れていないらしい)プロのミュージシャンがいて、歌を歌ってくれました。売れていないと聞いていたけどさすがプロ、歌がめちゃめちゃ上手くてなんか素敵な雰囲気や!
2日目。朝食の後、宿泊所の周りを簡単に散歩。砂漠の中にある小さな村です。
村の女の子が人懐こっくて可愛い!
この日は次の目的地『エルタ・アレ火山』に向けて長時間のドライブです。途中2〜3時間くらいは、とても車が走れるとは思えない悪路を、ケツを浮かしながら走ります。
そんな過酷すぎる環境の道中にも、小さな集落があって子供達がペンをねだってきます。
僕らの乗っている車のドライバーは、以前この集落の子供達にメガネを20個ほどプレゼントしたらしく、ちょっとした英雄みたいになっていました。比較的収入の高い観光業にたずさわっているとはいえ、先進国と比べたらまだまだ貧しいはずの彼が、そうやってさらに貧しい人たちに寄付をしている姿には胸を打たれます。
15時頃、火山への登山を開始するベースキャンプに到着。
…ん、登山?
そうなんです、この先はいよいよ車も走れず、火山を見るにはここから約3時間のトレッキングをしなければなりません。現在気温は軽く40度以上、この炎天下の中で登山をすると本当に命の危険があるので、ここで日が暮れるのを待ち、気温が下がってから登り始めます。
という訳で、今日の夜は火山で野宿予定。マットレスや水はラクダに運んでもらいます。
19時頃、いよいよ日も暮れてきたので歩き始めます。
すぐに日は完全に落ちて真っ暗に。傾斜が強い訳ではないので道のりはそれ程過酷ではありませんが、それでも歩いているとたっぷり汗をかきます。登っている間に3リットルくらいの水を飲みました。
ちょうど3時間ほど歩いた頃、ついに火山口に到着!猛烈に煙が上がっています。そして硫黄臭がすごい。
『エルタ・アレ火山』では火山口の中のマグマが1番の見所なのですが、今日はどうやら風が強すぎ&煙が強すぎで、全く見えず。そ、そんな事もあるのか…
しばらく待っていたのですがやはり変化なし。仕方ないので一旦今日は諦め、近くで寝た後、早朝にもう一度見にくる事になりました。
マグマが見れないので、煙とシルエットで遊びます。意外と楽しい。
という訳で、今日は火山口から徒歩10分のところで地面にマットを敷いて就寝(写真暗すぎてすいません)。
これが…風が強いからなのか、いつもそうなのか分かりませんが、火山口から吹き出す煙がここまでしっかり届いていて、かつ強烈な硫黄臭で、めちゃめちゃ苦しい。みんなゴホゴホと咳をしながら頑張って眠りにつきます。これ、絶対体に悪いと思うんですが、なんちゅうツアーや。笑
明朝4時半、みんなで再度火山口をのぞきに行きます。おおっ、煙の量が減っている!!と言ってもすぐにマグマが見れるほどではなくて、ガイドが一生懸命にマグマが見える地点を探して回ります。
おおっ!?
こ、これは…!!
見れたー!!ブクブクと吹き出すマグマです。なんとなくターミネーター2のラストシーンを思い出します。
ちなみに、以前はもっと近くにマグマが見れたらしいのですが、2018年1月にこの火山が噴火しまして、火山口が数十メートルほど下に沈んだそう。だから余計に、煙が強い時はマグマが見えづらいようです。
なるほど〜。何かよくネットとかで見てた写真と違うなあと思ったら、そういう事ですか…。ちょっと残念でしたが、こちら自然が相手。仕方ありません。それでも何とかマグマが見れて良かった!!
ちなみにここエルタ・アレ火山は隣国エリトリアの国境に非常に近い地域です。エチオピアとエリトリアは1998〜2000年に国境紛争をしていた過去もあり、この火山ツアーには警備隊がつきます。
極めて恐ろしい話ですが、2012年にはエルタ・アレ火山のトレッキングをしていた観光客グループがエリトリアの武装集団に襲撃され、2名の死亡者が出ています。話によると、その死亡者2名はツアーガイドと警備隊の指示を無視して、勝手に走って逃げようとしたところを撃たれてしまったそうです。
この地域に行くことを検討されている方は、本当に気をつけて下さい…!!
登ってきた道をみんなで下山します。いつもながら下山がまあまあキツイ。
メケレへと戻る道中では泳げるくらい大きな塩湖に寄り道しました。
という訳で湖水浴(?)タイム。塩湖というだけあって、圧倒的な塩分濃度のため体が浮く!!写真では分かりずらいですけど奥の人プカプカしてます。すぐ隣にちょっとした天然温泉もあって、煙やら砂やらでもうベチャベチャの体をスッキリさせる事が出来ました。
そしてついにメケレへ!2泊3日とは思えないくらい様々な景色を堪能できたダナキル砂漠ツアーでした。
めちゃめちゃ暑いし道中は悪路だし火山の煙浴びながらの野宿だし何気に3時間以上登山もするという過酷なツアーですが、楽しかった!!
Sohta Yamaji
1985年生まれ、大阪出身。
約1年かけて世界を旅しています。
帰国しました!ブログ書きます!笑