なかなか過酷だったダナキル砂漠ツアーの翌日。この日は毛色をガラッと変えて、ティグレ州にあるエチオピア正教会を訪れます。
エチオピア正教とはエチオピアで独自に発展したキリストの教会で、世界中で3600万人の信徒がいるそうです。アフリカ植民地時代以前から存在しており、1974年以前の「エチオピア帝国」時代には国教となっていました。なんとここティグレ州にはそのエチオピア正教の岩窟教会が120ヶ所以上あるそうなのですが、その中でも『天空の教会』とも呼ばれる洞窟教会を目指します。
実はこのツアーは、もともとダナキルツアーを申し込んだ時にETTで合わせて申し込んでいました。最初、ダナキルを3泊で検討して値段交渉していたのですが、よく聞くと2泊でも内容はほとんど変わらないという事だったので、その1泊分をこのツアーに変更してもらったというのが経緯です。
メケレから車で2時間ほど走り、ティグレ州の教会ふもとの村に入ります。
これから訪れる『アブナ・イェマタ教会』は、なんとこの山の上にあるとのこと。なんだか、世界中どこにいても登ってばかりな気がします。
同じツアーには、ダナキルツアーの時から仲良くしていたフランス人カップルと、ハネムーン中のドイツ人カップル(なんと奥さま妊娠中)が一緒でした。
まずは1時間ほど山道を歩きます。序盤からまあまあ傾斜もあり、妊婦さんがまあまあキツそう(そりゃそうだ。てか最後まで登るのか?)。
そしていよいよ教会に向けての最難関ポイントにやってきました!この写真右の壁5〜6mをロッククライミングで登ります。迂回ポイントはなく、ここを登らなければ教会にはたどり着けません。
確か15ドル程度?払えば命綱を借りれるという事でしたが、(妊婦さん以外)みんな命綱無しでチャレンジする事に。落ちると大怪我しかねない高さなのでドキドキしますが、手足をホールドできる所はしっかりあるので1つずつ慎重に行けば意外と登れます。
岩登りの後は比較的安全な道になりますが、まだまだ気は抜けません。
最後まで登ると、断崖絶壁の先に教会の入り口がありました。切り立った崖ははるか下まで続いており、ここで足を滑らせたら100%死にます。笑
なぜこんな辺境の地に教会があるのかというと、天に近く俗世と離れた場所で修行したり神と向き合えるからだそう。
崖の先には教会へと続く小さなドアがあります。妊婦さん含めて無事に全員たどり着きました!
中に入ると、何百年も前に描かれたとはとても思えないくらい、鮮やかな壁画が残っています。
教会までの厳しい道のりや岩をくり抜いて作られた構造が厳かな空間を際立たせていて、教徒にとってここが「聖地」であった事が理解できます。
続いて、アブナ・イェマタ教会からそう遠くもない場所にある『マリアム・コルコル教会』を目指します。こちらも登り1時間半ほどの道のりです。
ロッククライミングこそ無いものの、なかなか険しい道を進んでいきます。
登った先には、山と一体化した小さな建物がありました。アグナ・イェマタ教会と比較するとインパクトは弱いものの、それでも厳かな雰囲気に包まれた教会です。
中は比較的広く、白いファサードが印象的です。7世紀から14世紀にかけて建てられたと言われているそう。
マリアム・コルコル教会のすぐ近くには、とても小さな『ダニエル・コルコル教会』があります(どれもこれも名前ややこしいわっ!)。こちらは6畳ほどの小さなスペースです。
ここの壁画は全体的に白くて鮮やかで、かなり爽やかな雰囲気。個人的には最も気持ちが落ち着く内部でした。
ダニエル・コルコル教会の入口前からは、エチオピアの大自然を一望出来ました。ティグレ州の教会巡り、日本人にはまだあまり知られていないようですがめっちゃオススメです!
さて、この日の教会めぐりは残念ながらこの3つで終了。ドイツ人のハネムーンカップルは、近くの町にもう一泊して翌日にもう3つ教会を巡ると言っていました。120以上あると言われる岩窟教会ですが、特に有名なのはこの計6つだそうです。
次は、エチオピアで最も有名な岩窟教会『ラリベラの岩窟教会群』を目指します。ラリベラは1978年世界遺産に認定(世界遺産第一号12個のうちの1つ!)されており、地面をくり抜いて作られた教会群として有名です。
ラリベラは、熱心なキリスト教徒だったエチオピア人たちが、かつて『エルサレム(イスラエルにあるキリスト教の聖地)』がイスラム教に支配されてしまったときに「エチオピアに第二のエルサレムを作る!」という目的で作った教会群です。なのでまさに、エチオピア正教の聖地です。
ラリベラへはメケレから車で10時間ほど(これまた遠い…)。翌朝には早速メケレを発ちます。
途中に小さなマーケットがあったので少しだけ寄らせてもらいました。
とんでもない荒野の中にある青空市場。みんなどこから買いに来ているのだろうか…
ちなみにここでは家畜の売買も行われていました。一頭数十ドルからと、意外とお買い求めやすい!
さて、10時間かけてラリベラに到着。
ラリベラは、世界遺産があるとは思えない程小さくて貧しい町でした。ラリベラ教会のすぐ裏の住宅街は、まるでスラム街のような貧しさです。ラリベラ教会の入場料は50ドルとかなり良い値段なのに、町の住民はその恩恵を全く受けているようには見えません。
町一番の市場も、開催されていない間はこんなに寂しい雰囲気です。
早速、ラリベラの教会群を見学します。ラリベラは12の岩窟教会から構成されていて、大きく2グループに分かれています。こちらは第一グループにある『聖マリア教会』。1つ1つの教会がかなり大きいのも特徴です。
教会の周りでは熱心な巡礼者がお祈りをしています。
中にはこんな子供の巡礼者も。外国人にあまり出会った事がないのか、とても恥ずかしそうにしながら僕らに懐いて来ました。
こちらは第二グループにある『聖ラファエル&聖ガブリエル教会』。ちなみに第一グループと第二グループは徒歩10分ほどの距離です。
第二グループにある『バリバロスチャーチ』。
ここはラリベラで最も有名な『聖ジョージ教会』で、高さ12m、幅12m、奥行き12mの十字架の形をしています。よくぞ地面を掘ることで、これ程に素晴らしい教会を作り上げたものです。
ちょうど、翌日の朝にここでミサ(祭礼)が行われるという事だったので明朝に再度訪れることにしました。
ホテルへの帰路の途中には、伝統的な家屋も見れました。
翌朝。8時頃に聖ジョージ教会に向かうと、続々と教徒が集まってきていました。もはや、白いストールを被らずにここにいるのが気まずいくらいにたくさんの教徒に囲まれながら歩きます。
それでも、やっぱり聖ジョージ教会のメサを見れてよかった。この光景を見ると、ここがいかに教徒達にとっての聖地なのかをひしひしと感じます。司祭による聖書の朗読と、教徒達の熱心なお祈り。昨日とは明らかに異なった雰囲気がここにありました。
ああ、なんてホーリーな空気感。ラリベラに来られる際は是非聖ジョージア教会のメサを見て欲しいです。
アフリカの中でも非常に信仰心の強い国、エチオピア。ダナキル砂漠にいた頃とはまた全く異なる、この国の新たな側面を見る事が出来ました。なんというか、本当に個性的な魅力を放っている国だと思います。
最後におまけ。
ラリベラの教会群を回った初日の夜。
一緒にいたフランス人カップルと近くのレストランで食事をとりました。その時にはもう暗くなってしまっていたものの、明るい時間ならラリベラの町が一望できる、小さなローカルレストラン。
今日はインジェラ以外のものを!と思い「ビーフバーガー」を注文。久しぶりの洋食に心踊ります。
楽しみにして待っていた中、ついにビーフバーガーが運ばれてきました。
………パン、付いてないやん。笑
まさかのビーフバーガーを注文すると、ハンバーグ(的な肉のかたまり)とポテトが出てきました。というかポテトの肉添えが出てきました。
あまりに衝撃だったので店員さんに「ハンバーガーって、ハンバーグにレタスとかトマトとか乗せてパンで挟むアレだよね?」と聞くと、「ああ、普通はそうだよ。でもうちはこういうスタイルなんだ」と、得意げに言われました。
さすがエチオピアや。
本当に個性的な魅力を放っています。
Sohta Yamaji
1985年生まれ、大阪出身。
約1年かけて世界を旅しています。
おばちゃんです😃元気で世界を堪能してるね👍
ずーと楽しく読んでます。
あと少しでしょう?怪我しないように✊‼️
応援してまーす❗
ありがとう!残りわずか、体に気をつけて楽しんできます!そしてブログも最後まで書き終えられるよう頑張ります!笑